ミスチルの記念すべき20枚目のアルバム「SOUNDTRACKS」が発売されました。
前回の「重力と呼吸」から2年ぶりのニューアルバムということで、僕もさっそく聴きました。
一言でいうと・・・すごくよかった!!
僕的には前回の「重力と呼吸」が「ちょっと小粒だなー」と感じていたので、今回の「SOUNDTRACKS」はそれを翻すほどの満足度でした。
なんていうか、50歳になった桜井さんの死生観が反映されていて、すごく深みのある内容に感じました。
というわけで、アルバム「SOUNDTRACKS」の感想を書いてみます。
ミスチルファン歴20年を超える僕による勝手な考察も交えながら、ちょい辛口でレビューしていきたいと思います。
さらに、「今回のアルバムでツアーをやるとしたら、どんなセットリストになるか?」というセトリ予想もしてみました。
コアなミスチルファンも満足できる内容だと思うので、ぜひ最後までお楽しみください。
目次
【全体の感想】人生のサントラ盤というメタファー
実は僕、今回のアルバムはそれほど期待をしていなかったんですよ。
第一報で発表された曲目を見て、「重力と呼吸」と同じく小粒にまとまりそうな予感がしたからです。
「重力と呼吸」って全10曲で収録時間が48分1秒という、ミスチルのアルバム中では異例の短さなんですね。
「重力と呼吸」を初めて聴いたときは「あれ?もう終わり?」という感じで、コアなミスチルファンの僕にとっては少し物足りないアルバムではありました。
で、「SOUNDTRACKS」も同じ全10曲で、収録時間は45分14秒とさらに短いんですね。
しかも収録曲は、CMや主題歌ですでに公開されてる曲も多かったじゃないですか。
『おカネの切れ目が恋のはじまり』の主題歌「turn over?」や、『ZIP !』のテーマ曲 「The song of praise」など。
10曲のうち6曲がタイアップで公開済み。
なので「SOUNDTRACKS」というタイトルも、「タイアップ曲を集めたサントラ盤ですよ」という意味なのかなと思ってました。
言い方は悪いけど寄せ集めのような。「BOLERO」や「(an imitation) blood orange」のようなアルバムになると予想してました。
ところがいい意味で予想を裏切ってくれました!
アルバム全体に「死」や「終わり」といったテーマが隠れており、「深海」のようなコンセプトアルバムに近いものになっていました。
僕の中で「深海」は、ミスチルの中でトップ3に入る名アルバムで、僕がミスチルを好きになるきっかけになったアルバムです。
だから「深海」の雰囲気を漂わせた「SOUNDTRACKS」は、僕の心に刺さるアルバムになりました。
「SOUNDTRACKS」では、全曲を通して「終わり」というものがとても意識させられる内容でした。
なかでも「losstime」から「Documentary film」の流れはこのアルバムの中核を担っていると思います。
「終わりがあるからこそのかけがえのない日常」という、アルバムのテーマを表してるんじゃないでしょうか。
人生はドキュメンタリーフィルムであって、そのフィルムもいつかは終わりが来る。
だからこそ日常が輝くのであって、「SOUNDTRACKS」はそんな日常を切り取った「人生のサントラ盤」なんだと思います。
50歳になって、遠くにぼんやりと「終わり」を意識するようになった桜井さんだからこそ書ける歌なのでは。
とても切ない、それでいてとても愛おしい世界を描いたアルバムでした。
収録時間が短いのも、今の視聴者のライフスタイルを考慮してのものでしょう。
僕も最近は忙しくて、60分を超えるアルバムは2回に分けて聴いたりしてしまいます。
1回で聴き終わるには、45分という時間はとても適切。
そういやミスチルの曲って昔はもっと長かったのですが、最近のは3分~4分で短くまとめてますよね。
これも今の視聴者の好みに合わせてるんだと思います。
これだけの大ベテランなのに、時代に合わせて自分たちを変えていくっていうのが、ミスチルのすごさなんでしょうね。
【曲解説】曲ごとに感じた個人的な感想
では「SOUNDTRACKS」の曲ごとの感想を語りたいと思います。
あくまで個人的な考察と解釈ですが、僕なりに曲に込められた意味を感じ取ってみました。
DANCING SHOES
「DANCING SHOES」は一曲目からエッジのきいたロックチューンで、「このアルバムは一味違うぞ!?」と思わせるものがありました。
「シフクノオト」の「言わせてみてぇもんだ」や、「SENSE」の「I」を彷彿とさせる始まり。
思い通りにいかない中でもがく様は、僕がミスチルの中で最も惹かれる世界観の一つです。
「重力と呼吸」の「重力に抗う」という世界観とのつながりを意識してるようにも思います。
Brand new planet
「Brand new planet」はドラマ『姉ちゃんの恋人』の主題歌で、とてもさわやかな曲。
とはいえ若者の希望に満ちた未来というよりも、「理性で押さえつけてきた欲望を開放したい」という、真面目に人生を歩んだきた者が抱える葛藤のような気もします。
自分を抑えて長年生きてきて、今では欲しいものがなんだったのかも忘れてしまった。
でも、次の「欲しい」を見つけたい。取り戻したい。俺のギターよ叫べ(さぁ叫べLes Paulよ)というように聞こえます。
turn over?
「turn over?」はドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の主題歌で、今回のアルバムの中では抜群にポップで明るい曲。
ケンカした男女の恋愛模様を描いた歌です。「運命」や「箱庭」のようなかわいらしいアレンジです。
パーカッションが入ってるのって、ミスチルにしては珍しいですよね。ちょいと南国風。
ここで描かれる男女のシーンも、日常を切り取る一番面なんでしょうね。
君と重ねたモノローグ
「君と重ねたモノローグ」はすでにシングルカットされていた、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の主題歌です。
ドラえもんの主題歌だけに、ドラえもんとのび太の友情のようにも取れますが、パートナーと過ごす日常のかけがえのなさを歌った曲です。
二人で過ごす時間には必ず「終わり」があるけれど、それでも記憶は永遠に続いていくんだよ、という意味が見て取れます。
アウトロのストリングスによる繰り返しが、そんな「永遠」を象徴してるように思えます。
losstime
「losstime」はこのアルバムの中で一番衝撃を受けた曲。愛する人を看取った老婆の話です。
アルバムの中に秘められた「死」というテーマを如実に表した曲ではないでしょうか。
人生のロスタイムという、ある意味達観した「枯れ」の境地ともいえる風景ですが、それでも穏やかに感じるのがすごいところ。
ここから「Documentary film」に移る流れは、とても秀逸だと思います。
Documentary film
「Documentary film」は「SOUNDTRACKS」のリード曲といえる一曲。このアルバムを象徴してる曲だと思います。
日常はまるで心の中のドキュメンタリーフィルム。そしてこのフィルムにはいつか終わりが来ます。
いつか君の笑顔を見れなくなる日が来るから、君が笑うと泣きそうになる僕がいるんです。
そんな日常を切り取ったサントラ盤が「SOUNDTRACKS」で、その記録(記憶)が「memories」に引き継がれている気がします。
Birthday
「Birthday」は「君と重ねたモノローグ」と一緒にシングルカットされていた、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の主題歌です。
シングルで聴いたときはそれほど心に響かなかったのですが、アルバムの中で聴くとまた違った印象を持ちますね。
日常というドキュメンタリーの中で、生まれ変わるために奮闘する姿。
だから毎日がBirthdayだったりするんですね。
others
「others」はCMで耳にしていたキリンビール「麒麟特製ストロング」のCMソングです。
CMで聴くだけでは「甘いラブソングかな?」と思っていたのですが、意外や意外。実際はもっと奥深かった。
これって不倫や禁断の恋をしている男女の話ですよね。彼氏の存在が見える彼女と関係を持ってしまう男の話。
アルコールとタバコのにおいが似合う、まさに大人の曲です。
The song of praise
「The song of praise」は日本テレビ系『ZIP !』のテーマ曲です。
『ZIP !』ではコーラスの「おーおー」しか流れなかったのですが、やっとフルコーラスで聴けました(笑)。
まさにこれから出社するサラリーマンにピッタリの歌で、「小さな歯車」というのはなんだか「くるみ」を彷彿とさせます。
普通の日常を送る人たちを讃える応援歌。ライブでみんなで盛り上がりたいですね。
memories
「memories」は「SOUNDTRACKS」の中で描かれた「終わりのあるドキュメンタリーフィルム」を締めくくる曲。
それが「記憶」(記録)という形で幕を閉じるのが印象深いです。
このアルバムを聴いた僕たちに残る「記憶」は、まさにMr.Childrenにとっての「生きた証」でもある。
歌詞カードの最後に「すべての過去を引き連れて 未来へ響いていけ 今を生きる君の その傍らにいる 僕の証として」というメッセージが載っています。
これは、このアルバムを作り上げたMr.Childrenが、リスナーのドキュメンタリーフィルムに寄り添うことで、自分たちのドキュメンタリーフィルムを回してるということではないでしょうか。
今回のアルバムは映像特典の中で桜井さんが言っていたように、50歳になって「終わり」を意識するようになったからこそ生まれたアルバムだと思います。
とはいえ僕たちファンとしては、まだまだミスチルを見続けていたいです。
桜井さんは「これで終わってもかまわない」と言っていましたが、正しい文脈で受け取れば「そうではないことが分かると思う」と言っていました。
なので、これからもきっと新しい姿を見せてくれるのでしょう。
あの大作だった「REFLECTION」を作った後も、同じようなことを言ってましたしね(笑)。
なので、次にどんな姿を見せてくれるのか、僕たちは日常を続けながら楽しみに待ちたいと思います。
SOUNDTRACKSツアー セトリ予想
せっかくアルバムが発売されたのに、新型コロナの影響でしばらくライブ開催はなさそうですよね。
というわけで、「SOUNDTRACKS」のツアーをやるとしたらどんなセットリストになるのか、勝手に予想しました。
シフクノオトツアー以降、ほぼ毎回ツアーに参加してる僕によるちょっとマニアックな予想です。
半分は願望が入っています(笑)。予想したセットリストがこちら。
1.優しい歌
2.海にて、心は裸になりたがる
3.Dance Dance Dance
4.turn over?
(MC)
5.Brand new planet
6.day by day(愛犬クルの物語)
7.君と重ねたモノローグ
(MC)
8.smile(Twenty★Twenty)
9.街の風景
10.彩り
(MC)
11.others
12.here comes my love
13.HANABI
14.DANCING SHOES
15.マシンガンをぶっ放せ
16.花 -Mémento-Mori-
17.Documentary film
18.Worlds end
19.Birthday
20.エソラ
(アンコール)
21.未完
22.innocent world
23.The song of praise
どうですか? 今回は新型コロナでみんなが不安になってる世の中だからこそ、「日常」をテーマにした曲が組み込まれる気がするんですよ。
まずミスチルのオープニングはあえてアルバム曲から外すことが多いので、「SOUNDTRACKS」の「音」つながりで「優しい歌」を入れてみました。
「SOUNDTRACKS」のオープニングムービーからの流れで「優しい歌」のイントロのアコーディオンが流れると、めちゃくちゃテンション上がりそうじゃないですか!?
その後の「海にて、心は裸になりたがる」「Dance Dance Dance」「turn over?」のつながりも盛り上がりそう。
(↓その後開催された30周年ツアーで結構当たりました)
関連記事ミスチル30周年ツアー2022“半世紀へのエントランス”5/22京セラ感想レポ
そして今までライブであまりやったことのない曲を入れてみました。これは僕の願望でもありますが。
「day by day(愛犬クルの物語)」「街の風景」なんかは聴いてみたいですね。
「花 -Mémento-Mori-」はアルバムのテーマでもある「死を想え」という副題がついてるので、今回入れてきそうな気がする。
サプライズとして、ジャニーズのTwenty★Twentyに楽曲提供した「smile」をセルフカバー!
MCで桜井さんが曲作りのいきさつを話した後に歌ってくれそうです。
「others」「here comes my love」は女性向けの甘い恋愛ゾーン。
そこから一転、「DANCING SHOES」からはディープな世界に移るのですが、ここではぜひとも今の世相を反映した「マシンガンをぶっ放せ」を歌ってほしいです。
「愛せよ目の前の疫病を」って、今の時代にピッタリだと思いませんか?
「Documentary film」から「Worlds end」への流れは、めちゃくちゃ雰囲気が合うと思うんですよね。
そして「Birthday」「エソラ」で大いに盛り上がる。
アンコールでは「REFLECTION」以来の「未完」を久々に聴きたいです。
そして定番の「innocent world」を演奏し、最後は「The song of praise」の大合唱で締めくくる。
どうですか? これなら次の日からの仕事も頑張れそうじゃないですか?(笑)
ま、僕のつたない予想をはるかに超えてくるのがミスチルなので、ライブがあるのなら期待したいです。
オンラインでもいいからお願いっ!
というわけでいろいろ勝手なことを書いてきましたが、総じていうと「SOUNDTRACKS」はなかなかの名作だったということです。
とても深い世界観だけど、初心者にもとっつきやすい楽曲なので、まだ聴いてない人はぜひ聴いてみてくださいね!