男性がお父さんとして赤ちゃん言葉やいないいないばぁができるようになるまでの心の内をお話します。
「でちゅね~」と言う自分がバカみたいで嫌だった頃から、自然と赤ちゃんに話しかけられるようになるまでの心の変遷をつづります。
僕は子供ができる前、赤ちゃんに話しかけるのが苦手でした。苦手というか「自分には絶対無理!」って思ってました。
赤ちゃんに何の迷いもなく「よちよち、いい子でちゅね~」と言える人を見ては、なんだかザワザワした気持ちになってました。
決して僕は子供が嫌いなわけではないんですよ。どちらかと言うと好きな方。
でも、赤ちゃん言葉で話してる自分は想像するだけで気持ち悪いし、そんな姿は他人に見せたくない。
我が子といえども、そこまで盲目的にかわいがれるものなのかな?と、疑問に思ってました。
そんな僕ですが、今では普通に子供に赤ちゃん言葉で話しかけてるし、「いないいないばぁ」をして遊んだりもしてます。
かといって「子供ができたから変わった」というわけではありません。
そうなってしまう過程があり、必要性があるから赤ちゃん言葉になるんだな、というのが分かりました。
ま、こんなことを考えなくても、できる人はできるんでしょうけどね。僕のようなひねくれ者は、何でも素直にできないのですw
では、僕が赤ちゃんに話しかけられるようになるまでに、どんな心境の変化があったのかをお話します。
自分がバカみたいに思えて嫌だった
僕は友達や親せきに子供が生まれて対面したとき、どんな顔をすればいいのかがよく分かりませんでした。
よくあるのが、親が赤ちゃんに口パクさせながら「はじめまちて、○○でちゅ。おじちゃん、よろちくね~」と赤ちゃんを差し出してくるパターン。
(決して赤ちゃんがしゃべってるわけではない)
うん、かわいい。確かにかわいいよ。
でも……
「かわいいでちゅね~。おじちゃんでちゅよ~」なんて対応はできない!
なんだかそれをすると自分がバカみたいに思えるのです。
「その紹介のしかたやめて!反応できないから!」と心の中で思ってたものです。
ええ、分かってますよ。変にプライドが高いんでしょうよ。わかってますよ。でもムリポ……。
だから、いきなり赤ちゃん言葉で話せる人を見ては「えっ?そんないきなり愛情爆発できるもの?」と、ちょっと引いてました。
そして素直にできない自分は「冷たく見られてるんじゃないか?」とか「本当に冷たい人間なんじゃないか」とか、いろいろ考えてしまうのです。
いや、かわいいとは思ってるんですよ。でも、我を忘れるほどじゃない。
我を忘れるほどじゃないのに、我を忘れるほどかわいいという態度を取らなきゃいけないのが、なんだか嘘をついているようで申し訳ないのです。
だから、自分の子供にもそういう冷たい態度をとってしまうんじゃないかという不安がありました。
自分の子供を溺愛している親を見ては、「自分はそうなれない」という自責の念と「そうなりたくない」という反抗心が交錯してました。
うーん、男の人なら分かるかなぁ。べろべろばぁをしている自分はロックじゃない、というか。子供ができても俺のソウルは変わらないぞ、というか。
赤ちゃん言葉を話すのは、なんだか日常に埋没している感じがして嫌だったんですよ。ロックンローラーでもないくせにね……。
いきなりできるわけではなかった
そんなややこしい僕だから、いきなり最初から赤ちゃんに話しかけられるわけありませんでした。
生後0ヶ月の間は心の中で赤ちゃんに話しかけている状態でした。「調子はどうだい?」と心の中で語りかけても、口に出しては言えませんでした。
助産師さんなどが「話しかけたら赤ちゃんに通じますよ」と言ってるのを聞いても、頭のどこかで「いや、まだ通じないだろう」と理性が邪魔をしていました。
僕が話しかけられるようになったのは、1~2ヶ月たったころから。
というのも、お世話をしていると赤ちゃんに話しかけた方がスムーズにいくことが多いんですよ。
おむつ交換や着替えのとき、話しかけた方がやりやすい。赤ちゃんの注意を引けるから、作業が進みやすいんです。
黙ったまま強引にやると泣きわめくので、話しかけながら感情をいなすようになりました。
「あーうー!!」と怒っていたら「そっか、あーうーかぁ」と言いながら、赤ちゃんの感情をいなす。
ミルクにしてもおむつ交換にしても、話しかけながらやった方が黙ってやるよりやりやすいんですね。
さらに、男の人が低い声で接すると赤ちゃんが怖がりやすいのも分かってきます。
だから、だんだんと高い声で話すようになってくる。テンション高めでやさしく、やさしく。そうしたら泣かないし。
実際、赤ちゃんは父親の低い声より母親の高い声の方が安心するみたいですね。優しさを伝えるには、赤ちゃん言葉の方がニュアンスが伝わりやすいんです。
するといつの間にか、抱っこしながら「ヨチヨチヨチ」と言ってる自分がいる。
あれ、赤ちゃん言葉使ってしまってたわ……。
そして4~5ヶ月でこちらの反応に笑ってくれるようになると、やっぱり笑顔を見たくて話しかけてしまうわけですよ。
いないいないばぁも、笑顔を引き出すためにやってしまう。笑顔を見ると愛おしさもわいてきます。
なので、赤ちゃん言葉を使っているからといって、いきなり子供にベタ惚れになったわけではないんです!
徐々に徐々に、自然とそうなる過程があるんです。
最初は必要にかられてやるんだけど、だんだんとそれが当たり前になってきて、後から感情がついてくる。
決して我を忘れてかわいがってるわけじゃないんですね。
経験をしたか、してないかの違いだけ
自分が赤ちゃん言葉で話しかけるのに慣れてくると、他人の子供に話しかけるのもそれほど抵抗がなくなります。
だって、赤ちゃん言葉で話した方が赤ちゃんの反応が良いことを、体が自然と覚えているから。
もうこれは単に経験したか、してないかの違いなんですね。人間性とかの問題じゃない。
もしかすると、赤ちゃんに自然に話しかけられる人も、こういう心の葛藤を経てきたのかもしれません。
いや、こんな妙な葛藤を抱えてきたのは僕だけかな(笑)。できる人は素直にできるんでしょうけど。
ただ、少しだけ自分を擁護すると、男性は女性よりも赤ちゃんに話しかけるのが下手だと思います。中には上手い人もいるけど、一般的には下手。
というのも、男性は女性ように小さい頃に人形やぬいぐるみ遊びをしてこなかったからです。
女の子なら人形やぬいぐるみに「お着換えしましょうね」と話しかけたりするじゃないですか。
でも、男の子がぬいぐるみに「お着換えしましょうね」と言ってたら、親から「みっともないからやめなさい」と怒られてましたもん。僕らの世代は特に。
さらに、女性脳と男性脳での共感能力の差もあると思います。
男性にとって赤ちゃんに話しかけるのって、人形やぬいぐるみに話しかけてるようでやり方がさっぱり分からないんですよ。
だから「旦那が子供に話しかけてくれない。本当にかわいいと思ってるの?」と不満に感じてる女性も、もう少し待っててほしい。
夫もどう接していいか分からなくて戸惑ってるのかもしれません。
ポイント
すぐに赤ちゃんに話しかけられなくてもいい。必要に迫られたらやるようになり、感情は後からついてくる。
ちなみに、僕の父親も孫の顔を見るなり、いきなり「よく来まちたねー」と赤ちゃん言葉になれる人です。
これも子育てを経験した人だからこそなせる業なのかもしれません。
逆にうちの弟は独身なので、僕の子供を見ても赤ちゃん言葉にはなりません。「かわいいな」と言いながら笑顔の奥に「お、おぅ…」というちょっと複雑な表情を見せます。
僕はそれを見ながら「うん、うん。分かるよその気持ち」と思うのです。