妻が出産するにあたって、立ち会い出産をするか悩んでいる夫は多いんじゃないでしょうか。
僕も立ち会うか立ち会わないかはちょっと悩みました。
だって、立ち会い出産した女性の声をネットで見てみると、「旦那が全然役に立たない」「話しかけられてうっとうしかった」とかひどい言われようですもん。
旦那にイラッとした女性の声
「的外れなところばかりさすってくるのでイラっとした」
「長時間の陣痛で苦しんでるのに自分は食事をしてるのでムカついた」
「余計なことばかり言ってくる旦那はいない方がマシ」
「出産シーンで引いているのが分かって、この人には頼れないなと思った」
もちろん女性が命を懸けて一大イベントに挑むのだから、男性からは想像もつかない気持ちなんでしょう。だから全力でサポートしたい思いはあります。
でも、ちょっとした行動や発言が逆鱗に触れるなんて、まるでカンボジアの地雷原を歩いているようじゃないですか。
かといって、ドラマで見るシーンのような「一緒にヒッヒッフーやって、妻と一緒にいきんで、生まれたら涙を流して感動する」……
なんてまったくできる気がしない!
なので、そういう理想的な夫像を演じきれる自信がなくて躊躇していたんです。
ただ、うちの病院は夫以外の立ち会いが禁止だったので、僕しか立ち会える人がいないのなら一緒にいてあげたいと思い、立ち会いを選びました。
結果的に僕は立ち会ってよかったと思っています。
ですが男性の中には、立ち会おうか立ち会うまいかモヤモヤしている人はいるんじゃないでしょうか。
そんな夫側の本音や、僕が実際に立ち会ったときの感想をお話したいと思います。
夫が立ち会い出産したくない理由
夫が立ち会い出産を拒む理由は人それぞれですが、主にこの3点が大きいのではないでしょうか。
夫が立ち会い出産したくない理由
- 血を見るのが怖い
- 出産後に妻を女として見れるか不安
- 役に立てる自信がない
1の「血を見るのが怖い」については、僕はホラー映画とかも平気な方なのでそれほど心配ではなかったです。
よく「生まれる瞬間がグロい」と言われますが、実際は妻の頭側の立ち位置にいるので、生まれる瞬間ははっきりとは見えませんでした。
ただ、毎月生理で血を見ている女の人と違って、男は血を見慣れていません。
トイレットペーパーに血がついてた日には、「なんかヤバイ病気なんじゃないか!?」と卒倒しますからね(いやそれ、ただの痔ですからw)。
生理的なものですから、本当に血が苦手な人は立ち会えなくてもしかたないと思います。
2の「出産後に妻を女として見れるか不安」もよく聞く話です。これは僕も多少の不安がありました。
でも実際はそうでもなかったです。「鬼のような形相の妻がフラッシュバックする」という意見もありますが、時間が経てば忘れていきます。
ていうか、育児が始まると忙しくてそんなこと思い出す暇もありません(笑)。
僕にとっては3の「役に立てる自信がない」というのが結構大きかったです。
「一緒にヒッヒッフーをしてあげる」「テニスボールで背中をさすってあげる」「ストローで飲み物を飲ませてあげる」とか、ネットにはいろんな情報が書かれていますが、「絶対オロオロするダメな旦那の方になるだろ……自分」という思いがありました。
ただ実際は、「一緒にヒッヒッフー」なんてやらなくていいんですよ。
呼吸法は助産師さんが先導してくれますし、うちの病院ではヒッヒッフーというラマーズ法じゃなくても深呼吸でもOKと言われました。
僕がしたことも、暑がっている妻をうちわであおいでいるだけでした。
それでも後から「あおいでいてくれたのは助かった」と言ってくれた妻は、とても優しい人だと思います。
立ち会い出産は本当に感動するのか?
立ち会い出産をするのに、僕にはもう1つ不安がありました。それは「自分は感動できるのか?」ということでした。
というのも、僕は普段から淡々としているので、あまり感情を表に出すことがありません。
ていうか、これまでの人生で感情をさらけ出して喜んだ経験がない。
いつもどこかで自分を俯瞰して見てしまうクセがあるんです。
だから出産のときもちゃんと喜んであげられるのかが心配でした。
テレビドラマで涙を流して喜ぶ夫の姿にプレッシャーを感じていました。
実際、出産を目の当たりにしてどう感じたかというと……
感動はありませんでした。
こんな感じで、出産直後でも淡々としていました。
挙句は助産師さんに「もっと会話していいんですよ」と言われる始末です(笑)。
それよりも分娩中は苦しむ妻を早く楽にしてあげたいという思いだけでした。
痛がってるからとにかく早く終わらせてあげたいという気持ちです。
そして生まれた後は無事に生まれたことへの安堵感、子供ができたことへの戸惑いの方が圧倒的に大きかったです。
というのも生まれたばかりの新生児って、原始反射といって作り物のようなカクカクした動きをしてるんですよ。
テレビで見る赤ちゃん(だいたい3~4ヶ月ぐらい)のイメージとは全然違って、古い特撮映画の人形のような動き。
だから両親や義両親に「かわいいね」と言われても「えっ?かわいいの?」というのが本音でした。
そしてこんなひ弱な物体をちゃんと育てていけるのかという不安。
さらに「本当に自分は父親になっちゃったの?」という、まったく父親として実感がないことへの戸惑い。
一応LINEやメールで知人に報告しても、「子供が生まれました」「おめでとう!」というやり取りが、なんだか空々しく感じてしまう。
今だから言いますが、男が子供をかわいいと思えるのも、父親として実感が持てるのもずっとずーっと後です。
このときは、不安や戸惑いを飲み込むことが精いっぱいという感じでした。
だから「立ち会い出産をした方が、父親としての実感を持てる」「育児に積極的にかかわるようになる」というのは、ちょっと違うかなと思います。
立ち会い出産をしても「子供がかわいい」と思えるのは、まだまだ先です。
育児もやる人はやるし、やらない人はやらないです。
ま、「大変な思いをした妻だからいたわってあげたい」という思いは沸きますけどね。
なので出産のときに感動できなくても、父親としての実感がなくても、今はまだいいんじゃないでしょうか。
テレビドラマのようにはいきませんよ、ほんと。
本人が希望しないならしなくてもいいんじゃない?
データで見ると出産に立ち会った夫の割合は53%。経腟分娩(帝王切開じゃない分娩)に限っては59%の夫が立ち会っています。
立ち会った人 | 全体 | 経腟分娩 |
---|---|---|
夫 | 53% | 59% |
親 | 12% | 12% |
その他 | 5% | 5% |
誰もいない | 41% | 36% |
参考:厚生労働科学研究費補助金研究「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査」
約6割の夫が出産に立ち会ってる一方、約4割の夫が立ち会っていないということになります。
さらに立ち会わなかった理由を見てみると、半数が「妻が希望しなかった」と回答しています。
妻が希望しなかった | 50% |
---|---|
夫が多忙だった | 14% |
夫が希望しなかった | 11% |
医療側の理由 | 10% |
つまり、全体で5人に1人の女性は「立ち会いを望んでいない」ということになります。
妻側からすると「壮絶な姿を見られるのが恥ずかしい」「一緒に便が出てしまうかもしれないから」という意見があるようですね。
また、実際は立ち会い出産ができない病院もあるし、立ち会えるのは夫だけ(子供は禁止)という病院もあります。
なので、本人が望んでいなければ立ち会わないという選択肢もアリなんじゃないでしょうか。
立ち会ったから父親の自覚がめばえるなんてことはないですし、立ち会わなかったから自覚が持てないってこともないです。
立ち会い出産が一般的になる中で、「夫だから立ち会わなければいけない」というプレッシャーを感じてる人もいるでしょう。
でも、立ち会わなかったからといって子供や妻への気持ちに何か変化があるわけではありません。
すべては今後ですよ。
僕の中では、立ち会ったメリットは立ち会いを成し遂げて自信がついたことかもしれません。
ま、成し遂げたといっても、妻の1000分の1以下のちっちゃなちっちゃな試練でしたけどねw