関西圏のJR利用者なら多くの人が持っているICOCA(イコカ)。
JRの定期券やICカードとしてだけでなく、交通系電子マネーとして買い物にも使える優れものです。
阪急・阪神・近鉄などの私鉄や市バスも、これ1枚あればピッと乗れるのがいいですよね。
兵庫県在住の僕はもちろん愛用しています。
そんなICOCA(イコカ)にICOCAポイントなるポイント制度があるのは知ってましたか?
なんと、電車に乗るだけでポイントが貯まるんです!
「これは使わなきゃ損だ」と思い、僕も利用登録をしてみました。
しかし、半年ほど使ってみた感想はというと……
思ったほどポイントは貯まりませんでした。
利用区間などが限定されるので、ほとんど恩恵にはあずかれませんでした。
結論から言うと、ICOCAポイントはこれまで昼得きっぷや回数券を使ってた人なら利用価値があります。
しかし、僕のように不定期にJRを利用するだけの人はポイントを貯めにくいのがデメリット。
なぜなら、ICOCAポイントは廃止された昼得きっぷの代用手段として作られたものだからです。
なぜICOCAポイントは貯まりにくいのか、実際に使ってみた感想をお話します。
はりきって利用登録してみたけど……
ICOCAポイントは2018年10月1日から始まった制度です。
JRの乗車区間や乗車回数に応じて、電車に乗るだけでポイントが貯まっていきます。
貯まったポイントはチャージして1pt=1円で乗車や買い物に使うことが可能。
たとえば平日の昼間に大阪~三ノ宮間を8回(4往復)したら1,025ポイント、大阪~京都間を14回(7往復)したら3,080ポイントが貯まります。
利用登録はカンタン。駅の券売機で「ポイント利用登録」を選び、手持ちのICOCAをかざすだけ。
これで乗車のたびにポイントが貯まる設定が完了です。ちなみに、SMART ICOCAは自動的に利用登録されるので、登録の必要はありません。
登録が終わった僕は「よっしゃ、これからJRに乗りまくってポイントをザクザク貯めるぜ~!」と意気込んでいました。
しかし数ヶ月使ってみても一向にポイントは貯まりません。
「あれれ?全然貯まらないぞ。おかしいなぁ?」と思っていたのですが、よく調べてみると僕みたいな使い方ではポイントが貯まりにくいシステムになっていたんですね。
ICOCAポイントの貯め方について、もうちょっと詳しく見てみましょう。
ICOCAポイントの貯め方には制限が多かった
ICOCAポイントの貯め方はJR西日本の公式サイトに載っています。
列車の乗車で貯める方法は2種類あります。
ICOCAポイントの貯め方
- 時間帯指定ポイント
- 利用回数ポイント
ポイント付与の条件はどちらも結構厳しいものになっています。
2つの貯め方とデメリットを見てみましょう。
時間帯指定ポイント
時間帯指定ポイントは、その名の通り平日10時~17時と土日祝の終日の入出場に付与されるポイントです。
1ヶ月間のポイント適用区間での4回目以降の乗車から、運賃の50%もしくは30%がポイント還元されます。
時間帯指定ポイント
- 時間帯は平日10時~17時と土日祝の終日
- その月の4回目以降の乗車から付与
- 運賃の50%もしくは30%が還元
4回目からの乗車が50%OFFになるなんて、めちゃくちゃお得に思えますよね!?
でも、ちょっと待ってください。
実は時間帯指定ポイントには「ポイント適用区間」があるのがミソなんです。
この「ポイント適用区間」もJR西日本の公式サイトで公開されています。
これを見ると時間帯指定ポイントの「ポイント適用区間」は、JR京都線・JR神戸線・JR宝塚線のごく一部に限られていることが分かります。
JR京都線 | 大阪~京都 |
---|---|
JR神戸線 | 大阪~元町 |
JR宝塚線 | 大阪~宝塚 |
大阪環状線や阪和線・大和路線が含まれてない上、滋賀や兵庫西部の駅は対象じゃないのも痛いですよね。
しかも「ポイント適用区間」は34のグループに分かれており、同じグループ内の乗車でないとカウントはされません。
たとえばグループ19の大阪~西宮間を3回乗車し、グループ21の大阪~三ノ宮間を2回乗車したとします。
その場合、「5回乗車」とはカウントされずに「グループ19に3回、グループ21に2回」とカウントされ、ポイント付与の4回乗車に届かないんです!
さらに「ポイント適用区間」に設定されている駅は限られているため、対象外の駅での乗り降りはカウントになりません。
たとえば甲子園口~灘間で乗車しても、カウントの対象にはならないんです。
僕みたいにあちこち移動する人だと、ほとんど貯まらないですね……。
利用回数ポイント
利用回数ポイントは1ヶ月間の利用回数に応じて貯まるポイントです。
1ヶ月間の同一運賃区間の11回目以降の乗車から運賃の10%がポイント還元されます。
これも「11回目以降の乗車は10%OFFになるのか!」と思いがちですが、「同一運賃区間」という但し書きがあるのがミソです。
たとえば190円の区間を2回、220円の区間を2回乗っても4回とはカウントされません。「190円が2回、220円が2回」とカウントされるのみです。
つまり、190円の区間を11回乗らないと、ポイント付与の条件までは届かないんです。
しかも1ヶ月たてばカウントはリセットされるという。
こりゃあ、いつまでたってもポイント条件には届かなさそうですよね……。
結論:メリットは特定の人に限られる
このように、ICOCAポイントは普通に使っているだけでは貯まりにくいシステムになっています。
現実的にICOCAポイントが貯まるのは、平日昼間か土日祝に同じ区間を何度も往復する人に限られます。
というのも、最初に言った通りICOCAポイントは昼特きっぷ(昼間特割きっぷ)の代用手段として作られたものだからです。
昼特きっぷとは
JR西日本が発行していた平日昼間と土日祝が割引になる6枚つづりの乗車券。
関西私鉄に対抗して作られたもので、運賃が最大で30~40%割引になる。
よくよく見ると時間帯指定ポイントが貯まる駅は、昼特きっぷの対象駅とかぶります。
還元率も昼特きっぷの割引率とほぼ同じですしね。
利用回数ポイントの方も、「11回目の乗車から10%還元」というのは「11枚つづりの回数券」を買ってるのとほぼ同じ。
JR西日本としては「もう割引切符や回数券は使わずに、ICOCAを使ってよね!」ってことなんでしょう。
つまり、ICOCAポイントは昼特きっぷユーザーのために作られたのであって、Tポイントや楽天ポイントなどの共通ポイントとは別物と考えた方がいいでしょう。
ま、電車で通院するおばあちゃんとか、短期バイトに通う学生は重宝するかもしれません。
これまで昼特きっぷを愛用してた人は、知らぬ間にポイントが貯まるかもしれないので、利用登録をしておくといいでしょう。